白玉楼の最奥に着いた妖夢は、そこにそびえる巨大な桜の木を見上げていた。春を集めてこの木に花を咲かせようとしたが、最終的には阻まれてしまった為、結局その姿を見ることはなかった。西行妖、白玉楼数ある木々の中で、もっとも大きな木だった。
「私のせいだ・・・・・・」
PR
幻想郷は、今日も平和である。そして冥界はというと、それに輪をかけて平和なのだった。その冥界の白玉楼には、いつもの事ながら良く働く半人半霊の少女、魂魄妖夢と、それを眺めながらお茶を楽しむ白玉楼の主、西行寺幽々子の姿があった。
「妖夢も精が出るわねぇ」
のほほんとした口調で、お茶を飲みつつ幽々子は言う。言葉をかけられた妖夢はそれに答えるが、その間も手にした刀での木々の世話を止めることはなかった。