青年がアリスの家に厄介になる事は決まったが、そうなると色々問題も出てくる。
「何て呼べばいいのかしら?」
まずアリスが真っ先に挙げた問題は、青年の呼び名だった。なにしろ青年自身が名前を忘れてしまっているため、本名が分からない。ふとアリスはとある考えを思いついたのだが、
「何て呼べばいいのかしら?」
まずアリスが真っ先に挙げた問題は、青年の呼び名だった。なにしろ青年自身が名前を忘れてしまっているため、本名が分からない。ふとアリスはとある考えを思いついたのだが、
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魔法の森の中に、西洋風の屋敷が一軒。それこそが七色の人形遣いの住処だった。そんな大層な肩書きを持ってはいるが……実際のところ、見た目は普通の少女だ。ただ違うとすれば、彼女は『人間』ではなく『魔法使い』であるということ。
「……ふぅ」
夜が更ける。魔法の森に棲む生物はこの時間から本格的な活動を始める。ただ、それは妖怪だけであって、魔法使いであるアリスは別にそんなことはない。今日だって、朝からちゃんと起きて昼まで人形を作り、昼休みを取ったあと再びまた人形を作っていたのだから。人形を作ること、人形を操る魔法を修行すること、その二つをアリスは日々こなしていた。いや、むしろそれしかしていなかったかもしれない。
「……ふぅ」
夜が更ける。魔法の森に棲む生物はこの時間から本格的な活動を始める。ただ、それは妖怪だけであって、魔法使いであるアリスは別にそんなことはない。今日だって、朝からちゃんと起きて昼まで人形を作り、昼休みを取ったあと再びまた人形を作っていたのだから。人形を作ること、人形を操る魔法を修行すること、その二つをアリスは日々こなしていた。いや、むしろそれしかしていなかったかもしれない。
「~で、そしてこれを……」
藍がすらすらと黒板に数式を書いていく。藍の授業は分かりやすいといえば分かりやすいのだが、如何せんレベルが高い。一年間みっちり藍の指導を受けようも のなら、数検一級は確実であろう。だが悲しいかな、この東方塾の塾生はそこまで真面目にやる気のある者の方が少ないのだった。
そうなると、授業に飽きた塾生はどうするか。どこの学校でもあるだろう、ノートの切れ端を使って会話をするのだ。藍は真面目であるが故に隙も大きい。塾生にとってはその隙を狙うことは弾幕の隙間を縫うよりも楽なことだった。
「ん……?」
藍がすらすらと黒板に数式を書いていく。藍の授業は分かりやすいといえば分かりやすいのだが、如何せんレベルが高い。一年間みっちり藍の指導を受けようも のなら、数検一級は確実であろう。だが悲しいかな、この東方塾の塾生はそこまで真面目にやる気のある者の方が少ないのだった。
そうなると、授業に飽きた塾生はどうするか。どこの学校でもあるだろう、ノートの切れ端を使って会話をするのだ。藍は真面目であるが故に隙も大きい。塾生にとってはその隙を狙うことは弾幕の隙間を縫うよりも楽なことだった。
「ん……?」
「ごきげんよう」
「ごきげんよう」
さわやかな朝の挨拶が、澄みきった青空にこだまする。
幻想郷に集う乙女たちが、今日も天使のような無垢な笑顔で、背の高い博麗神社の鳥居をくぐり抜けていく。
汚れを知らない心身を包むのは、攻撃的な弾幕。スペルは連発しないように、気合避けに頼らないように、まったり戦うのがここでのたしなみ。
もちろん、被弾ギリギリでスペルが使えなかったなどといった、はしたない生徒など存在していようはずもない。
「ごきげんよう」
さわやかな朝の挨拶が、澄みきった青空にこだまする。
幻想郷に集う乙女たちが、今日も天使のような無垢な笑顔で、背の高い博麗神社の鳥居をくぐり抜けていく。
汚れを知らない心身を包むのは、攻撃的な弾幕。スペルは連発しないように、気合避けに頼らないように、まったり戦うのがここでのたしなみ。
もちろん、被弾ギリギリでスペルが使えなかったなどといった、はしたない生徒など存在していようはずもない。
私立東方塾。
明治三十四年創立のこの学校は、生粋の弾幕馬鹿のために作られた貴重な学校なのだった。
明治三十四年創立のこの学校は、生粋の弾幕馬鹿のために作られた貴重な学校なのだった。
白玉楼の最奥に着いた妖夢は、そこにそびえる巨大な桜の木を見上げていた。春を集めてこの木に花を咲かせようとしたが、最終的には阻まれてしまった為、結局その姿を見ることはなかった。西行妖、白玉楼数ある木々の中で、もっとも大きな木だった。
「私のせいだ・・・・・・」